# 世界と登場人物の種

2026-09-29の対話から、次の書き手が拾えるように整理した制作資料。人物像は固定された正解ではなく、話を重ねて発見できる出発点とする。

## 制作の芯

それぞれが自分の尺度で相手を見切っている。その見方には当たっているところもあり、本人は自分の確信の中にいる。けれど、その人自身も別の誰かから同じように見られている。読者が視点を行き来するうちに、自分が共感した見方も含め、状況全体が滑稽に見えてくる。そういう瞬間が生まれてほしい。

推進派、慎重派、ライトユーザーなど、どの立場も同じようにその輪にいる。滑稽さは失敗する人だけのものではない。この願いを土台に、何を描くかは書き手に任せる。一話で全員やすべての関係を描く必要はなく、まだ見えていない面が次の話を書く動機になってよい。

## この世界の調子

- AIへの賛否や距離感が違う人々が、不協和音を鳴らしながら同じ日常を送る。
- それぞれが自分の価値観を信じて疑わない姿は滑稽だが、誰も単なる悪役にはしない。
- 立場が対立する二人にも、山登りや朝のジョギングなど、AIとは別の接点があり得る。
- 一話で全員を登場させる必要はない。題材も会議室やAIの議論に限らない。
- 一話はその場の出来事として読めるようにし、別の書き手が拾える小さな余白を残せる。続きの方向を指定する「お題」は設けない。

## 人物の種

| 人物 | 立場・動機 | 最初の着想 |
|---|---|---|
| 蓮 | 企画開発部の新卒。速さと目立つ成果を求める推進派 | 一晩で動くモックを作る。エラーの原因を尋ねられると固まる |
| 武藤係長 | 営業部の叩き上げ。現場の誇りと実利を重んじる | 表では勘を語り、裏では定型メール用の指示文を練る |
| 神崎常務 | 経営陣。株主への説明と流行への追随を気にする | 「AI-First」「工数30％削減」を掲げ、具体策を現場へ渡す |
| 竹村 | 推進室付き。超知能後の社会を考える | 目の前の議論へ文明論の遠景を持ち込み、話を止められる |
| 黒木室長 | 情報システム部の責任者。事故と規約違反を警戒する | ログと規約を確かめるまで、現場の道具を止める |
| 権藤部長 | 総務部のベテラン。監視と経営陣への不信が強い | カメラに付箋を貼り、内線と手書きメモを好む |
| 大河内博士 | 元大学教授の技術顧問。知性と学問の尊厳を守る | AIの速い解答にも「美しくない」と異を唱える |
| 緑川さん | 元社員で社外アドバイザー。自然と自給自足へ向かう | Slackを離れ、山奥で薪割りや菜園をする |
| 佐藤さん | 派遣事務。平穏と定時退社を大切にする | 必要な作業だけAIに任せ、議論の横を定時で抜ける |
| 宮内 | 現場・カスタマーサポートの新人アルバイト。職を失いたくない | AI評価スコアに振り回される |

肩書・口癖・行動は最初のコメディの取っかかり。話が進めば、お約束から外れる行動も描ける。人物を一つの主張の代弁者に閉じ込めない。
